理想の都世知歩さんは、





目が合うと、アイス食べたい?、ちゃんと布団被って、寝て、ご飯か?を繰り返す都世知歩さんのお陰で完全復帰。


真ん中に梅干しの乗った日の丸お粥がおじやになって卵が入って。

味付け醤油の掛けすぎは見張られたけれど鰹節は許してくれて。

それで最後の方には大好きなトマトが入り始めて。


都世知歩さんの見えない愛情入りのご飯は、いつのまにかトマトリゾットになっていた。


短い、発熱期間に、一度だけ彼のうとうとした姿を見て。


その時譫言のように零した「風邪は恋愛イベントじゃないんだぞ」の謎の一言には眉根を顰めさせていただいた。

それ、どんな場面?

因みに都世知歩さんが絶対伝染らないと言ったら、その通りになって驚いた。


風邪のお陰で二雲と会うはずだった休日も、雑誌を買い込んで研究する予定も潰れてしまったけれど、そこは仕事がある日じゃなくてよかったって前向きにほっとした。ありがたい…。



そして都世知歩さんに、看病のお礼は何がいいか聞こうか、それとも察しようか考えつつ迎えた――五月下旬のことだった。






今日はお店の定休日。平日だ。


都世知歩さんも見送って太陽が真上に昇る頃、玄関のチャイムが鳴った。

「はーい」


何だろうと思いながら一応判子の場所を確認し、覗き穴から見えた予想外な小さい姿に迷いなくドアを開ける。


え、と見た姿は、額に熱冷ましのシートを貼って立つ衛くんの姿だった。


「わひら、あこめ」


辛そうに見上げていることに気付いてしゃがむ。鼻声に熱があるのか問うたけれど答えはなかった。


「りっちゃ…どこ」

「りっちゃん?いないの?」


途端に表情を崩した衛くん。

私は慌てて抱きしめ、抱き上げた。