「衵。バカなんですか」
また、溜め息。
熱、と付け加える都世知歩さん。
どうやら昨日濡れて走ったつけが回ってきたようだ。
「迷惑掛けてごめんなさい、都世知歩さん…」
「誰も迷惑なんて言ってない」
都世知歩さんは眉根を寄せ、鼻かむかと問うた。私は首を横に振る。
都世知歩さんの綺麗な目が、後ろから入る穏やかな明かりにきらきらしている。
私は、首に触れた体温の低い手を見つめた。
「取り敢えず粥作るから大人しく寝て」
あー…薬あったっけな…、と呟いた彼の前で、私はニ雲のことを考えていた。
それで、立ち上がった都世知歩さんの履いていた、灰色のスウェット裾を掴んで引っ張った。
と、覗いたのは戦隊柄のパンツ。
ぎゃ!と都世知歩さんが瞬時にスウェットを上げる。
私も短くすみませんと謝る。
「危ないから、衵待って…。今パンツと一緒に人生落ちるところだった…」
「…。あの。私行くところがあるので、へいき」
「…無理。約束あるなら連絡しなさい」
「スマホ、昨日の雨で」
「!?…貸す」
「ば、番号覚えていないので直接行かないと」
すると都世知歩さん、現代っ子がどうと呟きながら部屋を出て行ってしまった。
