「でも本当に、そういうのではなくて」
上手に説明ができなくて彼女から目を逸らし、視線を落としてやっと、コンクリートに落ちて溜まる雨に再会する。
ごめん。
ごめんね、都世地歩さん。
バレてしまって。
場面を誤魔化すためか、気持ちを落ち着かせるためか、冷える空気を吸い込んだら周囲の花の香りで胸が満たされた。
瞳に映える雨。
香った花。
隣の菜々美さんに呼ばれた気がして顔を上げ、もう一度彼女を映す。
ちょっと不思議な香りがした。
菜々美さんに会って、話している私がいる。
「…あのね、あこめちゃん」
優しく微笑む彼女。
その前に、雨やまないねって声を掛けてくれたような気がしたけれど、私はそれにも気が付けなかった。
「すっごく、今じゃなくていいだろうって話なんだけどね」
そこまで聞いて、私は。
どうしてか、『いわないで』って思ってしまった。
都世地歩さんの言葉を思い出した。
『それでその内知ったのは、』
菜々美にも。
