理想の都世知歩さんは、





恐らくそのひとに分からない理由で瞬きをした私。

彼女は慌てた様子で「急に、ごめんなさい」と謝った。


「あっ…いえいえ!そうじゃなくて」


紫陽花を抱えながら頭を小刻みに振る。

「ええと」


「もしかして。間違っていたらごめんなさい、その、あーちゃんとお店…」

「はい…」


どういうわけか恥ずかしくなってしまった私は小さくなって頷いた。

彼女は嬉しそうに続ける。



「そうですよね…!わたし藤原菜々美といいます。この前お見かけしたなぁと思って」






やっぱり。

そう。


彼女は、――『菜々美』さん。



「わ、和平衵と申します」


わわ、本物だ、と思って緊張した。

お話するのは初めて。


なのに、どういうわけか初めてお会いしたとは思えなかった。


都世知歩さんの影響かな?


以前一度、お店でお見かけしたからかな?



「――――あ、の」



すると、菜々美さんが、小さな雨粒が光る髪を耳に掛けてきり出した。



「見間違い…かもしれないけれど……もしかしてこの前、宵一の――――…」