まだ部屋着の都世知歩さんに見送られて、私は花屋さんへの道のりを急いだ。
けれど途中で三谷さんに『花屋に渡して花と引き換えて来て』と言われた用紙を店舗に忘れていたことを思い出し、一度店舗に寄った。
事務所には、出掛ける仕度をした三谷さんがいた。
「丁度よかった、送る」と、車のキーを回した彼のご厚意に甘えて花屋さんへ。
店先で降ろしてもらい、手を振る三谷さんとは別れる。
用紙と引き換えにサインして受け取ったお花は、真っ青な紫陽花だった。
手にずっしりと重みがある。
今強く降っている雨の香りと淡く一色に染まる紫陽花の色が相まって、手一杯に梅雨を抱えた想いがした。
少し香ってみようとしたけれど雨の香りが強くて分からなかった。
真っ青。
ということは、確か水は酸性?あれ、アルカリ性?
いや、私は酸性に賛成…いやいや。
「綺麗な青」
店先に立った時、左隣から声がした。
私は声のした方へ顔を向ける。
「ね」
そっと。笑みを浮かべる女性。
