理想の都世知歩さんは、





自覚、なかったのかこの人は。


「やーとかはーとか言っていて。もしかしたら台詞だったのかなって」

「嘘だ」

「嘘じゃない」

「俺は仕事と睡眠は分けているから。それに台詞とかないから」


え、何なんですか。

急にどうしたんですか。


「衵の部屋からも夜中聞こえてくる。『インヒールサイドゴアブーツバッシュレースアップシューズブーツローテクローカットローファー』とか」


…!

私が血眼に、必死になって暗記していた単語たち…!?


「素晴らしい暗記力ですね都世知歩さん…」

「あのなぁ、真夜中にそれを子守唄にしながら寝る俺の気持ちを考えろ。やばい呪文唱えてると思いながら布団被って必死に目瞑るんだぞ怖いだろ」

「羨ましい暗記力ですね都世知「おい」


怒っているのかお米が美味しかったのか分からないけれど目が通常通り逆三角形になっている都世知歩さん。

まさか話題のすり替えに成功してそわそわしていたとは気付かない私。


「それは秋靴の予習だったのですが」

「お前のいる業界は気が早い」

「はい、因みに都世知歩さんはバッシュとかレースアップとか似合いそうだなって妄想して…はぁはぁ」

「すごい気持ち悪い」

「絶対可愛いです。もう妄想しただけで…はぁはぁ」

「分かった。履く。履くから気持ち悪いのなし」

「ほんとですか!?」

「…そんなに…」

「絶対ですよ!約束してくださいね!」


「うぇ、約束?」



「口約束でいいので!」




秋になったら、きっとです。