理想の都世知歩さんは、





「ヒーローショーとかの中の人。スーツアクターって解る?衵」


スーツアクター?


あ、

もしかして、うちのお父さんが昔やっていた職業かもしれない。
聞き覚えがあった。


「だからー…割と身体動かすのは…って理由」


うわあー…。納得。

格好良い。


「そうだったんですね」

「ん」

「スーツアクターってことは、顔出しは」

「?しない。裏側だから。秘密」

「えっ」


しないのか…。


顔出したら大人気になりそうと言い掛けてから、多分皆にそう言われているんだろうなって思った。

都世知歩さんは、照れて火照った顔を隠して。言葉を声にした。




「端から“こっち”が夢だった」








都世知歩さんの、叶えた夢。








この夜は、この家に住み始めてから一番怖い思いをした夜だった――はずなのに。



目の前の都世知歩さんが、どうしてかキラキラして見えて。

魔法に掛かったみたいに怖かったことを忘れて。






ちょっとだけ、何でだろうって思った。