嘘つきラビリンス

「あ――、えと……」

覚えてない。

全然覚えてない。


「恋羽さんが寂しいって言ったのに」

「へっ?」

「僕が彼女に家を追い出されたって言ったら『うちにおいで』って言ってくれたでしょう?」

「はい!?」


言ったの?

私、そんなこと言ったの!?


「お互い、ふられたもの同士仲良くしようねって言ったでしょう?」

「えぇ!?」


そんなことまで話したの? 私!?


「だから僕は昨日のお会計、僕のツケにしてあげたのに」

「そうなの!?」


聞き返す私にトーマはコクリと頷いた。

昨日、かなり飲んだよね?