「もう過ぎたことじゃないですか。
正直言って、俺も昔はあなたに対して良い印象はなかったです。
母があなたの悪口ばかり言ってましたから。
でも、シュウのおかげであなたに会い、話してみたら、嫌な印象はなくなりましたよ。」

「本当か?
でも、お前はいろいろ苦労したんだろ?」

「いえ、苦労はほとんどありませんでした。
母は甲斐性がありましたし、祖父母もいましたからね。
あったとしたら、義父が来てからでしょうか。
それも思春期がゆえの問題で…
義父は俺を分け隔てなく可愛がってくれたのに、それでも俺はひねくれて…」

俺は、日本から離れイギリスに行った経緯等を話した。
寂しくてたまらなかったのに無理をして、どうにか耐えて…



「わかるような気がするよ。
すまなかったな。」

「あなたのせいじゃないですよ。
俺が選んだ道です。」

「義父さんはどんな人なんだ?」

「あなたとはまるで違う人ですよ。
見た目も性格も。」

「俺のことが嫌だったから、きっとまるっきり違うタイプの人を選んだんだろうな。」

高坂は、そう言って苦い笑みを浮かべた。



高坂の言った通りだと思う。
母さんは、高坂との離婚があったから、高坂とはまるで正反対の父さんを選んだんだ。
それなのに、美幸はシュウに惹かれている。
高坂と同じ、ホストのシュウに。