「すまないな、忙しい中押しかけてきて。」

「気にすんな。」

次の日、ルーチェに行き、シュウに証人のサインをもらった。



「美咲さん、もうじき退院なんだろ?」

「そうなんだ。」

「これからどこに住むんだ?」

「え?」



そんなこと、考えたことがなかった。
そういえば、俺と野々村さんはもうじき結婚して…
そうか、結婚したら一緒に住むんだな。



「おいおい、まだ決めてないのか?」

「あ、ああ…うっかりしてた。
うち…は、ちょっと狭いか。」

「新婚なのに何言ってんだ。
美咲さんの家はどうなんだ?」

「え、あ、あぁ、そうだな。
それがあったか。」



野々村さんは、今、家を借りてると言っていたけど、元の家はそのままらしいから、確かにそこで暮らすのが一番良いかもしれない。
あそこなら、広さも十分だ。
とりあえず、身のまわりのものを持って、俺が転がり込む形だな。



「しっかりしてくれよ。」

「やることがいろいろあって、忘れてたんだ。」

「確かに当分は忙しそうだな。」

「あ、子供の名前が決まったんだ!」

「へぇ、なんて名前なんだ?」

「和香奈と美都季っていうんだ。」

「なかなか良い名前じゃないか。」

そう言われて、何か良い気分だった。