「わかな…ですか?」

「は、はい。」

「どんな字ですか?」

「平和の和に、香り、奈良の奈です。菜の花の菜でも良いですが…」

本当は『和彦』さんの『和』なんだけど、それは照れくさくて言えなかった。



「わかな…良い名前ですね。
じゃあ、そうしましょう。」

名前はすんなりと決まった。



「男の子はどうしますか?」

「それが…まだ全然。」



私の考えた名前を、青木さんも気に入って下さったみたいだ。
嬉しい。



「女の子は、俺の名前から一文字使われてるので、男の子は美咲の『美』を付けたらどうでしょう?」

「え?わ、私の名前からなんて…」

「そうしましょう。『美』から始まる三文字の名前に。
そうだなぁ…」

青木さんは、目を閉じて…



「みつきはどうでしょう?」

「みつき?良いですね!
どんな漢字ですか?」

「美しいに、都、季節の季です。」

「素敵です!それに決めましょう!」

青木さんのおかげで男の子の名前もすんなりと決まった。
わかなとみつき、子供達の名前が決まったことで、さらに愛しさが募る。



「今日、シュウにサインをもらってきますね。」

「ありがとうございます。」

「なんだかやることがいっぱいですね。
でも、無理はなさらないで下さいね。
焦ることはありません。」

「はい、ありがとうございます。」

幸い、体調はそんなに悪くない。
だけど、退院したら自分だけで子供の世話をしなくてはならない。
そのことを考えると、やはり不安だった。