全くもうっ、野々村さんの人の好いのには呆れてしまう。
今回はどう考えても俺達の勝ちだろう。
なのに、美幸チームの勝ちだなんて…
きっと、美幸やシュウに同情したんだな。
シュウがあんな格好をしたせいか?
シュウの奴、よく断らなかったな。
完全に美幸の趣味だ。
まぁ、確かに着こなしのせいかオタク臭くはなかったが、でも、センス対決なら、どう考えても俺達の勝ちだ。
美幸でさえそのことがわかってるのに。



「どうするんだ?」

「どうって……」

「引き分けは嫌だぞ!」

「俺だって!」

シュウと俺の間に火花が散る。
俺同様、シュウも譲る気はなさそうだ。
しかし、困ったな。
このままでは勝負が付かない。



「じゃあ、ジャンケンで決めたら?」

美幸がおずおずとそんなことを言った。



「よし、それでいいぜ。
恨みっこナシだぞ!」

「お、おう!」

シュウが同意してしまったから、俺も断ることが出来なかった。



「じゃあ、いくぞ!じゃーんけーん、ぽん!」



シュウはチョキ、俺はグーだった。




「やった!俺の勝ちだ!
野々村さん、勝ちましたよ!」

野々村さんは微笑みながら、小さく頷いた。
シュウのガッカリした顔に、思わず笑みがこぼれた。
やはり、神はいる。
勝つべき者が勝ったんだ。