「……えっ!?どうして?」



KEN-Gさんの車で私達はシュウさんのお店に向かった。
美幸さんがいらっしゃるから、KEN-Gさんに話したいことも話せず、それに、お店に着いてからの美幸さんの様子も心配で、とてもじゃないけど落ちつけなかった。
やがて、お店に着いていつもの部屋に通されると、そこにはいつもいるはずの純平さんがいらっしゃらず、シュウさんやジョーさんと一緒に愛想の良い見知らぬホストさんが入って来られた。
それを見て、美幸さんは小さな声でぽつりとそう呟かれた。



シュウさんが純平さんは新人さんの指導係をされてることを話され、見知らぬホストさんがその容姿通りの穏やかな口調で話されると、美幸さんの表情も少し落ち着かれたように見え、私もようやくほっとした。
だけど、そんな時、シュウさんが美幸さんの指輪に気付いて手を取り、美幸さんはそれを反射的にふりほどかれて……



(シュウさん…やっぱり指輪になんらかのものを感じられたんだわ…!)



興奮で思わず声を上げそうになり、私はそれを懸命に堪えた。
KEN-Gさんもすぐに美幸さんの指輪に気付かれたようで……
今すぐにでも指輪のことでKEN-Gさんと話したかったけど、それが出来る筈もなく、私は焦る気持ちを押さえながら、美幸さん達の様子を見守った。



なんだろう…?
なんとなく、シュウさんの様子がおかしい。
手を振り払われたことで、気分を壊されたのかしら?
どこか美幸さんにつっかかるような口調に聞こえた。



(それとも、私の考え過ぎかしら?)



美幸さんも、シュウさんの質問になんとなく不安を感じてらっしゃるようで、ただペンダントのことを聞かれただけなのに、しどろもどろになられて……
私が美幸さんの代わりに答えたら、シュウさんはそれ以上、何もおっしゃらなかったけど、でも、まだどこかぎくしゃくした雰囲気は続いてて……



「それはそうと、シュウよ……
わし、腹が減ってるんじゃが、食事を用意してもらえんか?
皆も一緒に食べようじゃないか。」

「今日は予約を入れてないんで、今からだと……」

「あぁ、下の店でなくて構わんのじゃ。
なにかうまいものを取ってくれんか?」

「そしたら、大河内さん…お好み焼きなんかどないですか?
俺、めちゃめちゃうまい店知ってるんです。」

「お好み焼きか…そりゃあ良いのう!
じゃあ、慎二、よろしく頼むぞ。」

「わかりました。
ほな、皆さん……何焼きにします?」


慎二さんが皆さんにオーダーを取って回られ、美幸さんも少しほっとされた顔に変わっていた。