考えてみれば、インディーズのバンドマンに恋するようなものなのかな?
売れっ子の芸能人だと会って話すようなことはまず出来ないけど、インディーズだと会ってプレゼント渡したり、打ち上げとかもいけそうだもんね。
純平君には私の他にもファンがいて、私にだけ優しくしてくれるわけじゃないってことだけわかってたら大丈夫だよね。



なんともいえない幸せな気持ちで、私はベッドに横になった。



あ、そうだ…今度、純平君の写メを撮らせてもらおう…!
さすがに恥ずかしくって待ち受けには出来ないけど……いつでも純平君の顔が見られたら嬉しいよね……
そんなことを考えながら、私はそっと目を閉じた。



(わ……)



なのに、なぜだか頭の中に浮かんだのはシュウさんの顔……
それも、なんだか兄さんみたいにきつい目をして私を睨んでる顔で……



(あ、そういえば…あのメール……)



私は、シュウさんからのメールを読み出した。



『なにもおまえが謝ることなんてないだろ。
間違えて名刺を渡したのは俺の方なんだから。
名刺はともかく、メールは好きな時に送ってくれて良い。
まぁ、俺に用事なんてないかもしれないけどな。』



何度読んでもシュウさんの気持ちがわからない。
野々村さんは、シュウさんが私に関心を持ってるんだって言ってたけど……
そんなこと、やっぱり信じられない。
でも、どうしてメールを送って良いなんて書いてあるんだろう?
野々村さんの言うように、これは「メールを送って来い」って意味なんだろうか?
い、いや、まさか、そんなこと……
だって、シュウさんはあんなに格好良くてあんなにモテる人だし…私に関心を持つなんて……
……うん、ないない。
私、特別面白いとか、なにか芸を持ってるとかじゃないもん。
だったら、どうして……?
あぁ、もやもやする…!!
シュウさんの気持ちが全くわからない!



(でも……)



メールを送って良いってことは、メアドを登録しても良いのかな?
シュウさんのメールから、恐る恐る電話帳の画面を開いて……



shoot-for-the-light@………
なんだか気になるこのメアド…
登録するまでもなく、もう暗記してしまってる。
登録画面をみつめながら、私はそのままクリアボタンを押した。