(それにしても……)



私は、そっと胸のペンダントをみつめた。




パワーストーンで願いが叶うなんて、信じた事はなかった。
学生の頃、安いのを買ってみたことがあったけど、何も変わったことなんてなかったもの。
だけど…考えてみると、兄さんにこのペンダントを買ってもらった頃から、いろいろと変わったことが起きてる気がするんだ。
私のお給料じゃなかなか買えないようないろんなものが手に入ったり…それに、私の小説のキャラと同姓同名の人に出会った。
しかも、それは、私の理想にどんぴしゃなめちゃめちゃ格好良い人で…
それに、純平君からメールをもらった。

でも、まぁ、あれはもしかしたら営業っていうやつなのかもしれない。
純平君が、帰り際にメールちょうだいって言ってたから、次の日、お礼みたいなメールを送って…そしたら、すぐに返信をくれて、今度はいつ会える?とか、また一緒にアニソン歌おうとか、メアドを登録したとかってあったから、もしかしたら、私、純平君に気に入られた!?なんて、ちょっと舞い上がってしまって……
で、野々村さんにそのことをメールしたら、野々村さんは営業のメールだと思ったみたいで…
それを見たら、私もなんだかそんなような気がして来た。
そうだよね…相手はホストなんだし、こんな私なんかに好意を持ってくれる人なんていないよ。
私って馬鹿だなぁ……



でも、野々村さんは違う。
漫画やドラマでよくある、磨けば輝く原石だったんだ。
おじいさんはさっきから感心しっぱなしだし、この分じゃ、きっと野々村さんの恋は成就する。
大河内美咲に変わる日も遠くはないよ、きっと。



(もしかして、これもあのペンダントのおかげ!?)



野々村さんのと私のは違う石だけど、同じデザインだし、同じお店で買ったものだし…
私も野々村さんも、これからパワーストーンの効果でどんどん幸せになっていったりして…!?
え……だとしたら、私は誰と結ばれるんだろう?
純平君……それとも……




シュウさんの顔が目に浮かぶと、なんだか胸が切なくなった。
まさか一目惚れ?
でも、あんな人に手が届くわけがない。
ただ、小説のキャラと同じ名前だから気になってるだけ…



……そう思いこもうとしたけれど、そうじゃないことはもうはっきりわかってる。
私の中で、シュウさんの存在が日増しに大きくなっていることに、本当は気付いてる。
でも、いくらパワーストーンの力があったって、それは無理。
無謀ってもんだ。
おかしなことは考えないようにしなくっちゃ……