最初で最後の恋

「あ、ごめんね!


ちょっと今からこの間部活でやり忘れた事があったから、それ片付けないといけないんだ!


ちょっと行ってくる」


「あ、うん………」




雅がうんと言うよりも早く、私は自分の席に荷物を置いて、教室から出た。


雅を好きでないフリをする為に。


雅にこの気持ちを悟られないようにする為に。




部活でやり忘れた事なんて、当然嘘で、本当は何もする事はない。


当てもなく、私は適当に学校の中を探検していると、サッカー部が練習しているのが見えた。




「あれは……」




そこにいたのは、沖本君だった。




嗚呼、確か沖本君ってサッカー部だったんだよね。


忘れてた。




雅を好きでないフリ……つまり、沖本君を好きなフリをしないといけないんだった、私は。