そう、同じクラスだったら、沖本君が一番早い。


だって、こうして私よりも早く学校に来て、この桜の木を世話しているのだから。




「あ、そっか」




沖本君は、照れたように笑った。




「じゃ」




私は、それだけ言ってその場を去った。


何で、私なんかにいちいち話し掛けたりしたんだろう?


黙って桜の木の世話でもしとけばいいのに。




何て、私は冷めた事を考えていた。




だって、沖本君が私に話し掛けた理由が、よく分からなかったし、


沖本君はクラスでも学校全体でも結構モテてるし、


そういう人、あんまり好きじゃないから。