最初で最後の恋

「な、に……これ…………」




平井さんは目を真ん丸にして驚いている。




「誰、こんな酷い事したの……」




小さく、平井さんがそう呟いた時、近くにいた女子が、平井さんに近寄った。


確かこの子は……隣のクラスの、安藤さん……だったかな?


ほとんど接点のない彼女の名前を、何故私が覚えているのかというと、体育の時間で一緒になるし、髪の短い女子はあまりいないから、少し特徴的だという認識が、私の中にあったので、彼女の名前を覚えていたのだろう。




安藤さんは、




「大丈夫!?平井さん!!


片岡のせいで、南林に襲われそうになったんだって!?可哀想!!


それなのに片岡さん、平気で学校に来るなんて!どうにかしているんじゃない!?」




と、私を見て嘲笑いながら、言った。




「え……?何の事………………」


「え、だって……梓がそう言ってたの……。


あ、梓っていうのは合唱部にいる友達の事で…。


昨日の帰りに、泣いている平井さんの腕を引っ張っている片岡と、その傍で南林がいて…………。


それで、片岡ってどこからどう見ても不良だから、きっと南林に平井さんを襲わせようとしたんだって……………」