それから程なく、いよいよあの携帯小説の発売日。


私は、学校が終わると、すぐに急いで近くの書店に立ち寄った。


このお店は、かなりきちんとコーナーが分けられているので、携帯小説がどこにあるか、すぐに分かった。




「あった、これだこれだ」




タイトルも作者も合ってるし、間違いない。


これが、私の欲しかった小説だ。




よし、レジへ行こう。


と、振り向いた時だった。




「わっ!」




人とぶつかってしまったのだ。




「ご、ごめんなさいっ」


「いえ、こちらこそ…」




頭を下げて謝った後、パッと上の方を見上げると、そこには平井さんがいた。




「あっ………平井さん」


「………」




私の顔を見た途端、平井さんは黙る。


…やっぱり、私、怖がられている??