-翌朝-




土曜日の早朝の学校は、数人の先生しかいない。


しかも、ほぼ全員が職員室で作業している。


生徒だって、いない。




だから、きっと雅が沖本君を回収するのだとしたら、今日だろう。




私は、隠れて、あの桜の木が見えるところで待っていた。


雅が来るのを。




あそこに、沖本君がいると私が知っている事は、きっと雅に何となく勘付かれた。


昨日、あの後、私が帰ろうしていると、雅がゆっくりと背後から私についてきて、私のジトっと見ていたから。


私が、あの桜の木の下を気にしていたのは、分かったに違いない。




あの木から漂う臭い。


そして違和感のある土。




気にせずにはいられない。




「……!」




来た。


雅が、やって来た。