「何の事?私知らなーい」


「とぼけないでよ。


沖本君は、私の彼氏なんだよ!?」




こんな時まで、私は沖本君の彼女の振り。




「……教えないよ?」


「どうして」


「これは、私だけの秘密なのぉ。


うふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」




真っ黒な目で笑う雅は、かなり不気味だ。




「間違えて、愛里に沖本君が好きだって、勢いで言っちゃった時みたいにはいかないもの。


また、願いが壊れちゃう」


「願い…………?」


「そう、願いだよぉ。


私、願いはあまり誰にも教えない主義なの。


あれが欲しいとか、これがしたいとか、何になりたいとか。


夢とか、希望とか。


だって、誰かに言ったら、願いは駄目になっちゃいそうじゃない?


誰にも言わないほうが、綺麗な願いのままでいられるでしょう?」