-放課後-




「愛里」




私に話し掛けてくる、愛おしい声。


雅。




雅が、私に話し掛けてくれた!


今まで、私ばっかりほぼ一方通行に話し掛けていたけれど。




「どうしたの?」


「あのね、さっき沖本君から伝言もらったの!


今日は一緒に帰れないだって」


「ありがとう!分かった」




笑顔で嘘を吐く雅に、私も笑顔で騙された振りをした。


沖本君が、雅に伝言なんか頼む筈無い。



だって、待ち伏せされたり、不法侵入されたりした相手に、普通、伝言なんか頼む人いる?



多分……いや、きっと、今日、また何か起こる。


そんな予感はしていたけれど、私は真っ直ぐ家に帰った。