「お願い、ちょっと昼休みに屋上に来て」




私は、愛里にそうお願いした。


あの時と同じように、深く頭を下げた。


しかし、あの時のように突き飛ばされたりはしなかった。




「…わかった」




雅は、そう答えた。



-昼休み-




屋上にやって来た。


この場所は、思い出が沢山ある。


大嫌いな沖本君に告白された場所。


大好きな雅に殺されかけた場所。




本当に、沢山の。




屋上には、既にみやびがいた。




「あのね、雅…。


何度も言うようで悪いけれど、本当に沖本君に…」


「関わるなって言うんでしょう?」


「…うん」




私は、小さく頷いた。




「嫌よ」


「でもね、雅…」


「嫌って言ってるでしょう!?」


「お願い……!!お願い………!!!」




それでも、私は懇願する。


鬱陶しそうな顔で、雅が私を見詰める。




あは。


なにその顔。


可愛過ぎる。


可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて堪らない。




「わかったわ…」




渋々、雅はそう答えた。