最初で最後の恋

「いいから出ていけえええええええええええええええええ!!!」




沖本君の、一際大きな怒鳴り声が聞こえたところで、もう沖本君の家からは声はしなかった。


窓は全部閉めているはずだから、普通は声は聞こえない。


聞こえなくて当たり前なのだ。


ただ、さっきの沖本君と雅の声が大き過ぎただけで。




どうしよう。


何か、入りにくいなぁ………。




と、沖本君の家の門の前でうろうろしていた時。




玄関の扉が開いた。


そこにいたのは、沖本君のお母さんだった。




「愛里ちゃん……。


ごめんね、ちょっと今急な用事があって………」


「そうですか…」


「ごめんね、わざわざ来てもらったのに……」


「いえ、じゃあさようなら」




そう言って、私は帰った振りをした。