だけど、こんな賑やかで笑顔の溢れる教室で、一人、お弁当を食べるのは何だか場違いのような気がするし、


浮いているような気もする。


居心地も悪い。




「人のいない場所で食べるか………」




ボソッと、誰にも気付かれない位小さい声で呟いた私は、


お弁当と魔法瓶を持って、教室を出た。




教室を出ただけでも、大分静かになった。


とは言え、人のいない場所、というのはなかなか見つからない。


中庭にも、校庭にも、校門近くにも、沢山人がいる。




う～ん………どうしようか……。




と思った時、ふと私は中学生の頃よく読んでいた漫画を思い出した。




それは、やわらかいタッチの絵と、甘くふんわりとしたマカロンみたいな優しい物語の、少女漫画。


主人公の女の子が、友達の女の子とよく、屋上でお弁当を食べているのだ。




屋上なら…人はいないかな？