だとしたら、羨ましい。


キチガイみたいな雅を見てしまったその誰かが。


私だって、雅の色んなところを見たいもん。


ずるいよ。




そう思って、私は誰にも気付かれないように、机の落書きに「ストーカー」と付け加えた。




そして、しばらくして、雅が教室に入ってきた。




教室の中は、十数人の生徒。


皆、雅の机の落書きに気付いているものの、黙っている。


まるで誰もいないかのように静かだった。




雅が落書きに気付かないまま、教室に入って、自分の席に座ろうとしたとき。




「クス…」




と誰かが笑った。


それと同時に、雅が硬直する。




「な、何……これ…………」




教室のある方向から、数人の女子が雅の方を向いて、クスクスと


笑っている。




その他の生徒は、まるで何事もなかったかのように座っている。


もしくは、俯いている。


私みたいに。