最初で最後の恋

「へへ、そうかな?」




沖本君が、照れながら、ご主人様に褒められた犬のように笑う。




雅が、また悲しそうな顔をしてどこかに行ってしまったのを横目で確認した私は、くすっと笑った。




また、雅の悲しそうで辛そうで惨めそうで、とっても可愛い顔が見れた事に対して、


私は純粋に嬉しかった。




「あ、そうだ!


今日、放課後は部活ないから、すぐ帰れるんだ」




と、沖本君は笑顔で言ってきた。


が、




「あ、ごめんね…今日は手芸部があるの………。


できれば一緒に帰りたいんだけど…本当にごめんね」




と私は言った。


これは本当。


手芸部はあまり活動がないけれど、今日はあるのだ。




「そっか…残念だよ」


「うん、私も」




これは嘘。


沖本君と帰れなくて、本当はすっごく嬉しかった。