学校に着くと、すぐに沖本君はサッカー部の部室に行ってしまった。




グラウンドの近くで待っていると、そこには雅の姿があった。


けれど、雅は私に気付いていない様子だったので、私は雅に声は掛けなかった。




サッカー部の朝練は、とても厳しそうだった。


サッカーは私はあまり興味がないのでよく分からないけれど、


サッカーボールを追い掛け回す姿は、とても必死そうで、一種の戦争みたいだな…と思った。




「練習、そこまでーー!」




サッカー部のキャプテンらしき人が、大声で行った。




「ふー、疲れたぁ~」




沖本君は、タオルで汗を拭っている。


その時、ふと沖本君と目が合った。


すると、沖本君が私のところまで駆け寄って、




「もしかして、練習見ててくれたのか?」




と言ってきた。


隣をチラっと見ると、雅が顔を真っ赤にしている。


どうやら、雅は沖本君の言葉が自分に対するものだと勘違いしているようだ。


なので、




「うんっ、すっごく格好良かったよ」




と雅が勘違いしていることが分かるようにして、私はわざと雅に聞こえるようにそう言った。