ぶわっ、と全身に鳥肌が立った。


気持ち悪い。


気持ち悪い。




この笑顔も、


この手も、


全部全部、




気持ち悪い………!




けれど…私は恋人の振りをしないといけない……。




だから、無理矢理笑顔を作って、




「ううん、全然!」




と言ってみせた。




「ありがとう。


じゃあ…」




と沖本君が言って、また私の手を握る。




汗ばんでいて、ゴツゴツしていて、大きい手が、何だかこの世で一番気持ち悪いもののように思えた。