最初で最後の恋

怖い、怖い、怖い…と怖れているのとは裏腹に、私は何処かわくわくしていた。




いつもとは違う、見た事ない雅が、ここにいる!


ここに、私の知らない雅が、本当の、本性を露にした雅が!


今、ここにいる!!




「いつも、私に好きな人いるの、好きな人誰なのって…。


いい加減、鬱陶しいのよ!!


私の好きな人?知ってどうするの?何するっていうの!?


知って、だから何なの!?」




雅が怒鳴っている。


雅が、私の知らない雅が。




嗚呼、何て素敵なんだろう。


私がもっと馬鹿みたいに怖がっている"振り"をすれば、雅はもっと怒ってくれるかな。




そう思って、私は




「ご、ごめんなさ………」




と、雅を怖れているように、雅に謝った。