気持ちに不器用な彼女を見る度、気になってしかたなかった。

それが恋だということに気付いて自分でも驚いた。
それは苦しいという気持ちではなく、温かいフワッとした感情だった。

社内では変わらずアピールしてくる人達はいたが、彼女は違った。
僕のことなど目に入らない様子で、ただただ自分の恋心を追っていた。

僕はそれでもいいのかもしれないと思った。彼女を見守れればそれでいいかなと。

元来自分は熱い感情を持った人間ではないのだろう。

だから彼女のそばにいて、何かあれば助けてあげたい・・そんな悟りきったような気持ちになっていった。


特別ではあったけど、それはもう好きという感情ではなかったのかもしれない。


さっき買ったストレートティーのキャップを開け一口飲んで、またタバコを口にする。