二人で騒がしい車の音がする道路の端を歩く。


杏の顔をのぞきこんで、表情をうかがう。


「.....大丈夫?」


この言葉しか思いつかず、二人は黙りこむ。


「私たちって...やっぱり死ななくちゃいけない存在なのかな.....?」


杏は今にも泣き出しそうな声で言った。


涙を堪えるためか下唇をぎゅっと噛んでいる。


「.....そんなことないよ。先に手を出して来たのはSK対処部隊なんだから。」


怒りと憎悪が込み上げてくる。


壁をガンっと叩き、つい本音が出る。


「護のやつなんだよ....!死ねばいいって.....!こっちの気持ちも知らない癖に!!!」


壁に少し亀裂が入る。


これはSKの身体能力あっての技だ。


普通じゃない。


圧倒的な力。だから体育の授業はいつもサボらなくちゃいけない。


私たちは"特別"だから。


「私たちは世間から見れば邪魔者だよね。そう思われてもしかたないよ。」


杏は大粒の涙をこぼして、服の裾をぎゅっと握った。


........SK対処部隊さえいなけりゃ、私たちは手を染めることなんてなかった。


殺す必要なんてなかった.......!


内心ではいつもそう思っている。


そして、真夜中にそのストレスを発散するんだ。


スッキリする。


恨みを込めた一発を大事に味わう。


いつも血まみれになっているが、自分の身体は"傷一つ"つかない。


私は強い。


私たちは強い。


何を言われても動じない。





私は強い。