「ふわぁぁ...まだ眠いよぉ、姉ちゃ~ん....」


「起きなさーい。仕事よ、仕事。」


私はまだ12歳の弟を連れて、SK本部へ向かう。


「どうもでーす。羅沢喜々と優喜です。」


少し奥の方から聞こえる男の声。


「おぅ、入れ。すぐに出るぞ。」


「えぇ~、空海さぁ~ん。もう出るんすか~?」


弟の優喜がSKのボス的存在の東空海さんに無駄口をたたく。


空海さんはSKの生き残りだ。


私たちの肉親がSKをしていた頃の生き残りで、身寄りのなかった私たちのことを気遣って、SKに入れてくれた。


空海さんは命の恩人だ。


「今日は第7地点だ。SK対処部隊はそこに集まるはずだそうだ。今日も盛大に殺るぞ。」


空海さんの開始の合図で赤いパーカーのフードを深くかぶり、バンダナを口に巻く。


「あれ?そういえば、杏がまだ来てないですねぇ。」


中田杏。


杏は私の親友で昼間の時も仲が良い。


幼馴染みで唯一無二の親友だ。


「また遅刻じゃないのかぁ?」


空海さんはため息をついてそのまま欠伸をした。


その時、ドアが勢いよく開いた。


「すいませぇ~ん!寝坊しちゃいましたぁ~えへへ~」


寝癖のついたままの頭で杏がやって来た。


「遅いぞ。早く準備しろ。」


またも空海さんの合図で赤いパーカーのフードを深くかぶり、バンダナを口に巻く。


「準備はいいか?」


空海さんの合図に三人が元気よく応答する。


「今回の作戦はまぁ、特にはない。雑魚ばかりという話だ。好きなように殺れ。」


空海さんの指示に三人は怪しい笑みを浮かべる。


「フフフ~姉ちゃ~ん。また賭けしようよ!」


「またぁ?」


「どっちのほうが多く殺れるかゲーム!」


雑魚ばかりの日はこんなゲームをするときがある。


人の命で遊ぶのはどうかと思うが、これをすることによって殺る気が格段に上がる。


「その話、あたしも乗ったぁー!」


杏がニコニコで優喜の話に乗っかる。


「へいへーい。やるからには本気でいくからねぇ~。空海さん!今回のノルマは?」


空海さんは欠伸をしながら、少し考えて言った。


「そうだなぁ。一人500人ってとこじゃねぇかな。」


みんなのテンションが急に下がる。


「えぇぇぇ、たったの500人~?面白くなぁーい。」


優喜がまた無駄口をたたく。


空海さんはそんな優喜にも冷静に対応する。


「ま、今日は賭けはやめておけよ。第7地点だしな。」


第7地点はSKの中で危険性が最も高い戦場だ。


狭い路地が多く、ゴミが多い。


こういう場では戦いにくい。


狭いと挟み撃ちにあって殺られる可能性が上がる。


ゴミが多い。


つまりは一般市民が多く住んでいるということ。


「じゃあ、行くぞ。」


空海さんの出発の合図がでた。


右手に鋭い刃物。


左手には護身用の刃。


両足には拳銃を仕込む。


四人は赤いフードをちらつかせ、バンダナを口に巻き、真夜中の戦場へ勢いよく飛び出した。