「で、手伝いって何?」


放課後になり、教室で二人きり。


変な汗が額を伝う。


「これを先生に提出しなきゃなんねぇんだよ。」


護は机に大量の課題を置いた。


鈍い音がする。


「.......え........こんなこと?」


「こんなことってなんだよ!俺にとっては大事な使命なんだよ!」


少し面倒くさいが情報を得るためには仕方がない。


ため息をつき、課題に手をつける。


無言で黙々と課題をこなしていく。


すると、護が急に喋りだした。


「なぁ、この間も聞いたけどお前はさぁ、SKのことどう思う?」


「...........また?」


この質問は本当に答えづらい。


「SKのことはあんまり知らない。...護は?」


やっと探りができた。


「俺?んー、そうだな。俺は邪魔でしかないな。」


怒りが生じた。


耐えろ。


ここでムキになったら、今までの作戦が全て無駄になる。


「だってさ、ただ人を殺して行くだけの奴らだぜ?
まだ一般市民は襲われてないけど、いつ襲われるか分かんねぇよな。
あー、怖い。」


護は淡々と話続ける。


「お前もそう思わねぇ?」


耐えろ。


耐えろ。


耐えろ。


「本当、死んでくれたら楽なのにな。」


.......耐えて!


「.......ないで。」


「え?」


「ふざけないで。」


「喜々?」


耐えて!


お願い!


「どうしたんだよ、喜々。」


護は私の顔をのぞきこむ。


「.......SKも人間じゃん。そう軽々しく死ねとか言わないで。」


「SK対処部隊も人間だ。」


護は真面目な顔をした。


「SKってなんでSK対処部隊を襲うと思う?
ただの"復讐"らしいぜ?
そんなの許されるわけない。」


護の言葉が妙に苛立つ。


「復讐ってことはSK対処部隊がなんかSKにしたってことでしょ?
それって、SK対処部隊が先に手を出したってことじゃないの?」


護は少し顔を歪めた。


少し黙って、護は反論を述べた。


「それでも復讐に意味なんてない。」


「綺麗事言わないで。」


私がそういうと、護は少し奇妙なこといった。


「昨日も言われたけど、綺麗事じゃない。」


「綺麗事じゃない?それが?............え。ちょっと待って。」


護の言葉が引っ掛かる。


"昨日も言われたけど"


昨日........?


「......ズボンの膨らみ。左手の鈍い反応。強い警戒心。」


淡々と喋る護についていけない。


「俺、昨日お前に会ったよな?ビルの上で。」


............全部バレてた。


SK対処部隊本部の頂点の洞察力。


なめていた。


これ程までに優れていたとは....。


どうにか誤魔化せないか.......。


「はぁ?ビルの上?何の話?」


「しらばっくれてんじゃねぇよ。
普通の人が足に拳銃なんか忍ばせるかよ。」


どうする....。


言い逃れなんてできない....!


「根拠は....?」


「朝、お前らが入ってきた瞬間。
ズボンが膨らんでるの見ておかしいなって思ったんだ。」


ちゃんと服の膨らみは直したのに。


「ズボンの膨らみ?
私がここに拳銃を入れてると?
あはは、笑えるね。
その冗談。
でも、笑えるけど、面白くない。」


冷たい視線を護に向け、殺気を放つ。


「お前、SKだろ?」


護はそれにも対抗してくる。


「違う。私はSKじゃない。」


私も必死で対抗する。


しかし、こんなに早く正体がバレてしまうなんて......。


ちょっと.......やばいな......。


「嘘つくな。拳銃とその左手が証拠だ。」


もう.........ダメか。


「.....仮に私がSKとして.....殺すの?」


護は真面目な顔をした。


「俺は殺さない。」


その言葉に苛立ちを覚える。


どうして?


「なんでよ...!どうして殺さないの?!」


護は一瞬悲しそうな顔をしたかと思うとすぐに真面目な顔に戻った。


外でカラスが鳴いている。


夕日が二人を照らす。