一人残された喜々はさっきの空海さんの言葉を思い返していた。


「みんなのために...........」


しかし、空海さんの言葉と共に護の言葉を思い出す。



"死ねばいいのに"



思考回路がグルグル回る。



"みんなのために戦うんだ"


何のために戦うか。


世間を敵にまわした今、決断は重いものと化していた。


しかし、答えはあまりにも単純なものだった。


「世間をとるか、仲間をとるか...。」


この二択にすると答えは即座に脳裏に浮かんだ。


「仲間に決まってる。」


よく考えれば、今更、世間に馴染めやしない。


後戻りなんてできない。


「行こう。」


赤いパーカーのフードを深くかぶり、口にバンダナを巻く。


右手に鋭い刃物。


左手には護身用の刃。


両足には拳銃。


準備は整った。



新しい気持ちで真夜中への扉をこじ開けた。