「心はな色んな意味がある。
優しい心。

嬉しい心。

悲しい心。

怒りの心。

憎悪に満ちた心。

屈しない心。

他にも色々あるが、心は変わるんだ。
だからこそ、毎日が楽しめる。
それを皆にはわかっていてほしい。」


空海さんは皆にバンダナを返し、無邪気に笑って見せた。


そして、真剣な表情に変わった。


「今日はSKの変わり時期だ。俺達の戦いの思考を変える。」


その言葉に誰もが驚いた。


思考を変える?


一体どういうことなのか。


どのように思考を変えろというのだろうか。


"復讐"以外に一体何がある?


「今までのSKの思考は"復讐"だった。でも、それは俺達を苦しめるだけ。実際に喜々は苦しんでたよな?」


空海さんは私の方をみて会釈した。


「だから、こうしよう。あの先祖の言葉。

"一人はみんなのために、みんなは一人のために"

この言葉を俺達は忘れかけている。
俺達はただの"復讐"のために戦っているんじゃない。
俺達のために戦ってるんだ。」


空海さんの話にみんなが親身に、そして納得して聞いていた。


一人を除いて。


「......じゃあ、私達は何のために戦ってきたんですか?両親の思いは?」


喜々は空海に問い詰めた。


その思考で戦うと両親の敵がとれない。


両親の思いを放棄することになる。


「じゃあ聞くが、お前は両親の本当の気持ちを"直接"聞いたのか?」


喜々は黙って横に首を振る。


「なら、お前に両親の本当の気持ちなんて分からないんじゃないのか?
  『復讐してほしい』
と両親が言ったのか?
違うだろ。
それはただのお前の"自己満足"だ。」


自己満足.....。


空海さんの言葉一つ一つが胸を突き刺す。


経験を積んだ者だから言える言葉。


「........少し頭を冷やせ。落ち着いたら戦場に来い。今日は第4地点だ。俺達はそこで待ってる。」


赤いパーカーのフードを深くかぶり、口にバンダナを巻く。


右手に鋭い刃物。


左手には護身用の刃。


両足には拳銃。


3人は戦闘の準備を済ませ、真夜中の街へ飛んだ。