とりあえず。






わたしは基本的に也季には
逆らえません。


理由は単純で。

①怒った也季はこわいから

②喧嘩をすると疲れるから

③くちでもちからでも負けるから

主にこの3つです。


怒った也季はとにかくこわいのです。

あまりみたことはないのですが、
衝撃的だったシーンがありまして。


高校時代、いつものメンバーで下校途中に
コンビニに寄ったときのこと。

お調子者でいつもふざけてばかりいる
とんたこと斎藤絢斗がいつものように
也季やほかの友達たちにちょっかいを
かけていました。

「アイス食いたいなあ。
でもおでんも食いたいし。
ねえおれ金ないんだけどっ」

「うるせえなあ買えばいいじゃん」

「金ないんだもん。
ガリガリ君しか買えねえや」

「ガリガリ君買えよ」

「とんたがおでんとか言うから
たべたくなっちゃったじゃん」

「え、まじ?じゃあおれのも!」

「ふざけんな」

「まじで!本気!がち!頼む!」


こんなふうに騒がしいのも
いつものことで、わたしは
笑いながらみんなを眺めていました。


「なるちゃーん!おでん食いたい!」


とんたが也季に抱きついて言いました。

「やめろばーか」ととんたを
引き剥がそうとする也季。

構わずじゃれつくとんた。


何度も言いますが、いつもの光景です。


なのに、どうしてそうなったのか。


ふとふたりに目を戻すと、
也季がとんたの胸倉を掴んでいました。