甘いヒミツは恋の罠

(あぁ~だめ! 今は余計なことは考えない! 集中!)


 紅美は、頭の中にある全ての雑念を振り払い仕事モードに切り替えた――。



「皆本さん、お疲れ様です。お先に失礼します」


「お疲れ様でした」


(疲れた……)


 週明けの月曜日はいつも怠い。


 先に退社する社員の背中を見送ってふと、時計を見るとすでに定時を過ぎていた。机の上を見ると、ボツになったデザインの紙が山になっていた。


(このまま仕事をしても今日はダメな気がする……帰ろう)


 こういう時、むりやり考えてもいいデザインは浮かばない。ダメな時は諦めて気分転換しようと、紅美は机の上を片付け時始めた。