「店長室に……行くんですか?」


「え? はい、そのつもりです」


「来客が先にいないか確認してからドアを開けたほうが……いいかも」


 結衣はボソリと意味深なことを呟いた。それは一体どういうことかと尋ねようかとした時、ちょうど売り場に着いてしまい、タイミングを逃してしまった。


(まいっか……)



 この時の紅美は、結衣の言葉をさほど気にはしていなかったが、数時間後、その本当の意味が紅美に信じられない衝撃を与えるのだった――。