甘いヒミツは恋の罠

「すみません、ちょっと調子に乗りました。でも、せめて紅美さんって名前で呼んでもいいですか?」


「え……? それって、どういう……」


「嫌でなければ僕と今後のことを考えてもらえたらって……そう思っています」


(えーっ!? それって、お付き合いを前提にってことだよね?)


(いやいや、ただの友達としてってことかも知れないし……)


「そ、れは――」


 恋人としてなのか友人としてなのか問おうとしたその時だった――。


「瑠夏~もう! 送ってくれるって言ったじゃない」


「あぁ? 誰がそんなこと言った? ったく、商談の話だけかと思ったら……あ」


 大野と二人で歩いていると、行き交う人の中に見覚えのある男と目が合った。