甘いヒミツは恋の罠

「う~ん、詳しいことは知らないけれど、瑠夏の気まぐれなんじゃないですか?」


 大野はにこりと笑って平静を装っているが、明らかに何かを隠しているとわかる。


(どうしてみんな隠そうとするの……?)


 隠されれば隠されるほど、秘密は甘い誘惑の香りを増す。


「それより、皆本さん」


 紅美が一点を見つめて考え事をしていると、改まったように明るい声で大野が声をかけてきた。


「は、はい?」


「よかったら今度は二人だけでお会いできませんか? ここじゃ、ゆっくり話もできないですし……」


(え? は? そ、それって、デデデデートのお誘い!?)


 久しぶりに誘われた男性からのデートに、紅美はそわそわしてしまう。そんな仕草に大野はクスリと笑った。