“木田宝飾”とはアルチェスのライバル会社で、どちらかというと女性客が多いショップだった。


 販売員は全員男性、尚且つどれもイケメン揃いで、アクセサリーのデザインはイマイチだと思うのに、これだけ顧客をつけられるのは、男性販売員のリップサービスのおかげだろう。


「私、あんまりそこのショップの人好きじゃないんだけどな……」


『なぁ~に言ってんのよ! ここでこの合コンに参加するのを断っちゃうなんて、もったいないったら!』


「でも……」


“木田宝飾”の販売のやり方が気に食わないと一人で意地になっているのも大人げない気もした。


 それにライバル会社だからという先入観もあるのかもしれない。確かに“木田宝飾”の販売員は魅力的な人ばかりだ。


(もしかしたら……夢に出てきそうな王子様と――)


 もわもわと膨らむ妄想に紅美は口元が思わず緩んでしまった。