社会人になってそういえば合コンなんてものに行ったことがない。


 仕事が忙しくてそれどころではなかったのだ。けれど、素敵な彼は欲しいというジレンマに紅美の気持ちが揺らいだ。


「合コンって……」


『やだなぁ~いい年して合コンって何? とか言い出すんじゃないでしょうね?』


「うぅ~馬鹿にしないでよぉ、合コンくらい知ってるって、でも――」


『今回はね! もう! 王子様揃いよ~なんてったって“木田宝飾”のイケメン販売員なんだから!』


 瑞穂は、今回の合コン相手に舞い上がっていて、電話口からでもキラキラとした花が瑞穂の周りに咲いているのが見えるようだった。