「あ、ごめん、もしかして何回も電話くれてた? 今帰ってきたところだったから……」


 肩と頬に携帯を挟み込みながら、紅美は忙しなく食事の支度を整える。


『毎日大変ねー。本店勤務様は』


 紅美と瑞穂の付き合いは一年ほどと短いが、御宿支店に異動になった時期が同じで、同じデザイナーということもあって、何かと話す機会が多かった。


 そして歳も同じで、裏表のない瑞穂の明るい性格に、紅美も好感を持っていた。




「それで? どうしたの?」


『合コンだよ! 合コン!』


「え?」


 電話の向こうで瑞穂がひとりで弾けている。