甘いヒミツは恋の罠

(次、もし……私に素敵な彼氏ができたら……その時は頑張ってみようかな)


 あの頃の新鮮な気持ちをふと思い出しながら、紅美がコンビニ袋からおでんの容器を取り出した時だった――。


 バッグの中から携帯の着信バイブ音が聞こえて、紅美は夕食の時間を妨げる電話の相手にため息をついた。


「もしもーし」


『あ、紅美? よかった! やっと電話つながったよ』


 電話の相手は、以前紅美が勤務していた御宿支店からの友人で、同業の豊川瑞穂からだった。