甘いヒミツは恋の罠

「皆本さんは新しい人だし、色々教えてあげたいこともありますけど……教えられないこともあるということをお忘れなく」


「教えられないこと……?」


「余計なことには首を突っ込むな、ということです」


「え……」


 昨日、沢田に新任の挨拶をした時、何も言わずペコリと小さく頭を下げた時は物静かな印象を受けた。それだけに沢田の辛辣な発言は意外だった。


(余計なことだなんて……そんなこと言う人には見えなかったのに)


「はい、すみません」


 紅美は、そうひとこと言って押し黙ったが、妙な疎外感にモヤモヤとせずにはいられなかった――。