甘いヒミツは恋の罠

「さ、さぁ……私にもよくわかりません」


「でも、先輩は本店二年目だし、このシリーズができる前からいるってことですよね?」


「…………」


(え? なんでそんな困ったような顔するの? 私、もしかして地雷とか踏んじゃってる?)


 結衣を困らせるつもりはなかった。紅美が作り笑いでその場をごまかそうとした時――。


「皆本さん」


 紅美の後ろの席で仕事をしつつも会話を聞いていたのであろう、同じデザイン部の沢田亮太がボソリと小さく言った。