甘いヒミツは恋の罠

「ギ、ギリギリセーフ……」


 紅美は、なんとかギリギリでオフィスにたどり着くと、出社するだけでどっと疲れが出てしまった。


「皆本さん、おはようございます」


「お、おはようございます。すみません、なんだかバタバタしてしまって」


 先輩なのに腰の低い結衣は紅美よりも早く出社していて、すでにコーヒータイムまで終わっているようだった。


「あの、これ渡そうと思って、もしかしたらもうお持ちかもしれませんが……一応」


 結衣から手渡されたのは、新しく作られた今年度のルチアシリーズのパンフレットだった。