甘いヒミツは恋の罠

(やっぱり朝比奈さんって変!)


(絶対私のこと馬鹿にしてる!)


 部屋を出て薄暗い廊下を足早に歩く。未だに身体中が火照って熱い。こんなことで時間を潰している場合じゃない、そう思って階段に足を下ろした瞬間――。


「きゃあ!」


 一度あることは二度ある。


(はぁ……もう嫌)


 デジャブを感じながら冷たい床に大の字になって倒れていると、以前と全く同じ階段で先日も転げ落ちたことを思い出した。


「いったぁ……」


 いい加減、学習しない自分に嫌気がさす。


(なによ~! ルビーちゃんって……くぅ)


 朝比奈の不敵な笑みを思い出すと、紅美は悔しくなってふるふると拳を握り締めた――。