甘いヒミツは恋の罠

「あの――」


「…………」


 ルーペを覗く朝比奈の表情が一瞬にして真剣なものに変わると、声をかけるのも憚れた。


 その真剣な眼差しに整った横顔を見ていると、紅美の胸がドキドキと高鳴りを覚えた。


(な、なんでドキドキしてんだろ……変なの)


 すると、ルーペをポケットにさっとしまって朝比奈が紅美に向き直って言った。


「デザインは古臭いけど、石はかなり純度の高い高価なものだな、価格にしたらお前の給料三ヶ月分ってとこか……」


「えぇえ!?」


「ちなみに、ピジョンブラッドというタイプの色味だ。この状態なら、お前の半年分の給料で買い取ってやるぞ?」


(はぁ!? な、何言ってんのこの人!)


 紅美は、握った拳をわなわなさせながら朝比奈に思わず浴びせてしまいそうになった暴言をぐっと堪えた。